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3Dプリンタ、私の選んだ1台

このコラムでは、実際の3Dプリンタユーザーにご登場いただき、購入のきっかけ、導入時の苦労、トラブル、業務上での貢献度、導入の満足度、今後の課題やリクエストなどを語っていただく。ユーザーから次のユーザーにバトンを渡していただくリレー形式のユーザー事例となります。

 

 
 

3D Printer My Selection

第9
「鉄道模型×3Dプリンタの可能性を追求する

斉藤正宏/CAD鉄

CAD鉄主宰。1990年神奈川県出身。2014年に3Dプリンタで鉄道模型を楽しむコミュニティ「CAD鉄」を立ち上げ、Autodesk 123D Designを使用した鉄道模型モデリング勉強会「CAD鉄の集い」にて講師を務める。2017年からFusion 360を中心に活用し始め、「Fusion 360 & CAD鉄 meetup」を開催。2018年9月より「CAD鉄モデリングセミナー」としてモデリング企画を復活させ、講師を務めている。
https://www.cadtetsu.jp
https://www.facebook.com/cadtetsu

 



 

●斉藤氏の使用3Dプリンタ
2016年 XYZ Printing「Davinci Pro」1台
2018年 UP Box Plus 1台

・3Dデザインツール
123D Design、Fusion 360など

・はじめに

CAD鉄の斉藤正宏と申します。鉄道模型は幼少期から楽しんでおり、中高生からケント紙やパテを使って鉄道模型の自作を始めました。大学生の頃に出会った3Dプリンタがきっかけで、「CAD鉄」という活動をはじめました。


▲CAD鉄ロゴ。(クリックで拡大)
 

3Dプリンタとの出会い

3Dプリンタを知ったのは2013年夏頃の新聞記事。これを使えば今ままで手作業でフルスクラッチしていた鉄道模型が簡単につくれるぞ! と興奮しました。しかしながら当時主流の3Dプリンタは「MakerBot Replicator 2」などで、値段は20万円超。当時大学生だった私には買うことができず、ひたすら3Dデータを作る日々でした。

そんな中、2014年春に中野ブロードウェイ地下にあった「あッ 3Dプリンター屋だッ!!」さんに出会います。ちょうど来店した時に発売したばかりの「XYZ Printing Davinci 1.0」を使った500円/h 出力サービスをやっていたので、その場で出力をしてもらいました。


▲初めて3Dプリントした松浦電鉄MR-600形。(クリックで拡大)
 

今見ると決して綺麗とはいえない造形物のクオリティですが、自分で1から作ったデータが目の前で造形されていくのを見て、感動したことをはっきり覚えています。

数々の3Dプリンタに触れて学ぶ

もっと3Dプリンタについて知りたいと思い、3Dプリンタ屋さんでインターン生として活動を始め、大学の授業が終わったら中野に通う日々が始まりました。すぐに123D Designの勉強会の先生役を任せていただき、そこから派生した鉄道モデリング勉強会がきっかけで「CAD鉄」が生まれました。現在開催しているCAD鉄モデリングセミナーは中野勉強会のスタイルがベースにあります。


▲3Dプリンタ屋さんでの勉強会の様子。(クリックで拡大)
 

お店には常に数種類のFDM機(Replicator, Davinci, UP, RepRap…etc)が稼働しており、中村店長、TOKYO MAKERの毛利さん、株式会社ストーンスープの浦元社長など3Dプリンタ、3D CADのプロフェッショナルたちから、さまざまなコツを学ぶことができました。使い方を誤って壊してしまい迷惑をかけたこともありましたが、自ら直させていただくことで3Dプリンタの構造や正しい使い方を学ぶことができたと思います。

初めての3DプリンタはDavinci Pro


▲XYZ Printing DavinciPro。(クリックで拡大)
 

いろいろ触っているとやはり3Dプリンタを家に置きたくなり、購入を検討し始めました。

そこで1台目として選んだのがXYZ Printingの「Davinci Pro」です。 選んだ理由としては以下の3点が挙げられます。
・初めての出力に使った思い出深い「Davinci 1.0」の上位機種であること。
・操作性のシンプルさ
・スライサーの詳細設定、社外製フィラメント対応などの自由度の高さ。

購入してから頻繁に使用しましたが、今でも安定した品質の造形ができています。

鉄道模型造形の悩み

鉄道模型の3Dプリントにおいて気を使うのが、反り、サポートの付け方、積層痕の処理が挙げられると思います。それぞれの問題と対策について説明します。

・反り
Nゲージ車両の寸法は20×10×130mm程度で細長く、なおかつボディの内側は穴が空いており、壁圧は厚くても1.5mm程度。そのため車体の両端が大きく沿ってしまうことがあります。


▲反ってしまったHOゲージ車両。(クリックで拡大)
 

私のしている対策としては以下の通りです。

(1)スライサーでラフトをつける。
(2)壁圧を1.4mm以上にする。
(3)プラットフォームシートを利用して、定着力を上げる。
(4)車体を立てて造形する。

プラットフォームシートは3M製のものを使用しています。この造形シート、高い定着率はもちろん、造形物の底面がツルツルに仕上がるという効果あり気に入って使っています。最後にあげた車体を立てる方法は車体の妻面が平らで、車両の前面の造形が細かい場合は有効な方法です(FDM機の特性上、上面の造形は汚くなってしまうため)。


▲DavinciProにて造形。Zゲージスケール(1/220スケール)とNゲージ(1/150スケール)を立てて造形。(クリックで拡大)
 

・サポートの付け方
車両内部が空洞になり側面に窓が開く鉄道模型を造形するとき、当然サポート材が必要になってきます。しかし細かい造形の多い鉄道模型ではサポートと一緒に造形物が剥がれてしまうことがあるため、最小限のサポートに留めるように注意しています。例えば新幹線のような小窓は十分ブリッジで造形できますし、車両内部の天井もブリッジで造形できるのであれば一切サポートをつけないで造形することもあります。このとき、1回でブリッジができるようにCAD上で天井を平らにする工夫をしています。



▲サポートなしで造形。(クリックで拡大)
 
▲ブリッジを考慮してCADデータを修正する。右が修正後。(クリックで拡大)

・積層痕の処理
鉄道模型を作る以上、実写をそのまま小さくしたスケール感で、リアルな塗装を行う必要があります。そこで問題になるのが、車体表面に残る積層痕の処理です。積層痕の処理にはMipox製のTuneD3を使用しています。耐水ペーパーと同じ要領で研磨するのですが、一番の違いはフィルムの耐朽性。耐水ペーパーや紙やすりだと数回の磨きで使い物にならなくなってしまいますが、TuneD3は水洗いすれば何度でも使えるので重宝しています。


▲TuneD3。研磨対象の素材によって3タイプ。ABSの場合はBasicを使用。(クリックで拡大)
 
▲TuneD3で磨いた、Nゲージ ななつ星in九州。(クリックで拡大)

鉄道模型から脱線してしまいますが、積層痕を逆に「味」として生かせる作品も作っています。鉄道モチーフのカードスタンドなどのハンドメイド雑貨は、あえて積層痕を残して、上からアクリル絵の具を塗って仕上げています。なかなかかわいい仕上がりになるので、気に入っています。


▲ハンドメイド鉄道雑貨。(クリックで拡大)
 

最近使用している3Dプリンタについて

・UP Box Plus
今年から会社に「UP Box Plus」を導入し、利用しております。UPシリーズの魅力はプラットフォームへの定着力と安定した造形。反りも少なく造形のストレスも減りました。ラフトの定着が良すぎる分、最初は取り外しに苦労しましたが、コツを掴んでから綺麗に取り外せるようになりました。UP Plus2にもいえることですが、他の3Dプリンタよりも「カチッ」とデータ通りに造形してくれる気がします。

導入しから半年が経ちましたが、造形失敗がほとんどなく、期待した通りの造形を行ってくれます。


▲UP Box Plus。(クリックで拡大)
 

・Formlabs Form2
2018年8月に行われた「国際鉄道模型コンベンション」でFormlabsさんのブースで展示させていただける機会があり、Form2でCAD鉄データを出力していただきました。造形精度は素晴らしく高精細で、3D CAD上で描いたモノがその通りに造形されることに驚きました。このイベントのために製作したN700S新幹線の滑らかな流線型も美しく再現されています。


▲Form2で造形されたN700S新幹線と東武500系リバティ。東武500系は台車まで全てがForm2造形。(クリックで拡大)
 
▲Formlabs Form2造形中の様子。(クリックで拡大)

展示会後、東武500系リバティは塗装と走行部品の取り付けを行い、問題なく走行することが確認できました。安定走行を見た時、はじめてメーカー品の鉄道模型と同等のレベルでモノが作れたと感動しました。

▲Form2で造形後、塗装、走行部品取り付けを行った東武500形リバティ。(クリックで拡大)
 

3Dプリンタの使い分けでデザインの追い込みを加速させる

鉄道模型を製作するならForm2の精度にFDM機は敵わないですが、両方を使い分けることで模型化を加速させることができると思います。

例えばN700S新幹線の製作にあたっては図面が公開されていないため、何度も3D CAD上でスカルプトボディを修正しながらデザインを実車に合わせていく必要がありました。

このときは画面で確認するよりも実際にFDM機で造形して、手にとって確認した方が早いのです(先頭形状だけなら造形時間は1時間かかりませんし、材料もローコストです)。

これによって納得のいく形状を決めて、Form2で高精細な本番造形を行えました。この方法は私の模型製作において今後スタンダードになっていきそうです。


▲UP Box Plusで出力したN700S新幹線の先頭部。このようなテスト造形を5回行い形状を追い込んだ。(クリックで拡大)
 
▲JR東日本の次世代新幹線のALFA-X。こちらも同様の方法で製作中。(クリックで拡大)

3Dプリントの楽しさを伝えたい

一般的に知られていませんが、日本の中学高校には100を超える「鉄道研究部」という部活が存在しています。私も中学高校時代は所属しており、文化祭にむけての車両製作やジオラマ製作に熱中していました。
縁があり2年前から母校の逗子開成学園鉄道研究部で3Dプリンタの出張授業をする機会があり、そこから現在では3校の鉄道研究部にて3D CADの出張授業、3Dプリンタの導入支援をしています。


▲暁星高校鉄道研究部に導入したFlashForge Adventure3。ほとんどプリンタ任せで高精細な造形をしてくれるため、精度を求める入門機にはちょうどよい。(クリックで拡大)
 

この活動をしていて一番嬉しいのが、学生が自ら作った3Dデータが造形されたその瞬間の喜びに立ち会えることです。

私が大学生の時に経験した感動と熱狂を多くの学生さんに体験してもらえるように、今後とも活動を続けていこうと思います。


▲中学1年生がFusion360を覚えて1週間で作り上げたヘッドマーク。学園祭で来場者に配布したそうだ。(クリックで拡大)
 


次回は太田珠貴さんです。11月下旬掲載予定。
(2018年10
月19日更新)

 

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