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3Dプリンタ、私の選んだ1台

このコラムでは、実際の3Dプリンタユーザーにご登場いただき、購入のきっかけ、導入時の苦労、トラブル、業務上での貢献度、導入の満足度、今後の課題やリクエストなどを語っていただく。ユーザーから次のユーザーにバトンを渡していただくリレー形式のユーザー事例となります。

 

 
 

3D Printer My Selection

第11
「3Dプリンタで管楽器のミュート
制作

森田 大/ミューティオ

高校卒業後、ノルウェー(国民高等学校)に留学。東海大学卒業、北欧文化・教育を学ぶ。 航空自衛隊や飲食企業勤務。震災後、家業の管楽器修理業を手伝う中、株式会社MORITAを設立。3Dプリンタを活用した金管楽器用消音器「Mutio」を独自開発・販売。
http://moritamute.jp/
morita.ishop@gmail.com

 



 

●森田氏の主な使用3Dプリンタ
2013年 Makerbot Replicator 2 3台
2014年 マグナレクタ Trino 1台
2015年 マグナレクタ Lepton 1台
2016年 Raise3D N2Plus 1台

・3Dデザインツール
Rhinoceros、Grasshopperなど

・3Dプリンタと私

こんにちは仙台でFDM方式の3Dプリンタを使って金管楽器の消音器(ミュート)を生産しています森田と申します。仙台で管楽器専門の修理工房室の傍らでミュートを作っています。

2013年の夏に修理室近所のファブラボ仙台を通して3Dプリンタに出合いました。それから、あれよあれよとファブラボ職員と2ヶ月で試作。生産、販売までをわずか3ヶ月という信じられないスピードで実現することができました。さまざまな方の助けをいただきながら試行錯誤を重ね、ブランディングや営業を行い、1年後にはアマゾンや全国の量販店で販売されている商品になっていました。3Dプリンタは私たちにほんと信じられないミラクルを与えてくれました。

今思うと、文系の私には3D CAD(Rhinoceros)の扱いや、3Dプリンタ、スライサーの設定、うまく出力が成功しない、分からない…そんなイライラに毎日が発狂しそうな日々でした。特に3Dプリンタを高速に、かつ造型精度を高める設定にするにはとても苦労し、頭が溶ける思いでした。

そんな中、新製品も出したいとめげずに頑張っていたところ、2017年2月には3Dプリンタで生産したこの製品が宮城県の優れた工業製品として認められ、「みやぎ優れmono」として認定していただけました。一気にそれまでの努力が報われた感はありました。晴れ晴れしたと言いますか。

この短期間で起こったことが不思議でなりません。よく「3Dプリンタは何でもできる魔法の箱ではない」と言われますが、頑張ればある種の商品は作れる、不思議な道具にはなるんだなぁと感じています。なので希望は持てると思います。困っている方がいればお助けになれたらと思います。ご連絡ください。


▲国旗色ミュート。試作した数々のミュートたち。(クリックで拡大)
 
▲スタバのカップで。スタバのカップにアタッチメントで。効果は薄い(笑)。(クリックで拡大)


▲トロンボーン用。トロンボーンミュートの表面をGrasshopperで作成。。(クリックで拡大)
 
▲巨大なチューバ用も製作。(クリックで拡大)

これまで使用した3Dプリンタ

これまでFDM方式の3Dプリンタは8機種、計11台使用してきました。とても多いと思われるかと思いますが、中古で買ったり、補助金で購入したものもあるのでこんな数になっています。

かつてメインで使っていたMakerbot Replicator 2は3台とも約2万時間に達しようとしています。現在も頑張ってくれているとても造形精度が高く頑丈で優秀な3Dプリンタだと思います。残念ながら、ところどころガタも出てきています。部品交換でいけると思いますが、もう販売は行っていませんね。

あとマグナレクタのLepton、Trinoもとてもお気に入りです。2つとも造形精度が超優秀です。Trinoにはボンドテック(Sweden)のエクストルーダーギアをつけています。Trinoはお陰で、爆速(150mm/s以上)で造形が可能となっています。私は主にPLAで出力造形しています。ABSは臭気が気になるのと、造型が難しいので。商品もPLAで生産したものを販売しています(ウッドライクも含む)。製品をPLAで売るなんて信じられないかもしれませんが、これが意外とエコフレンドリーな商品として受け入れられています(65℃は変形すると注意書きもしっかりと細かく記載しています)。

このPLAの素材の硬度が音にいい影響をもたらしていると思っています。

現役モデルはRaise3D N2Plus

現在私がメインで使用している機種はRaise3DのN2Plusです。基本性能がどれも高いマシンだと思います。85点ですね。製造サイズも大きいのに出力の安定感が良いです。私の場合はキックスターターで購入したので初期型ですが格安で買えました(30万円程度、現行機は80万円以上?)。投資対効果はよかったと言えます。はじめは回収できるかとても不安でした。

良いポイントは、まずは造型クオリティの高さ。それと一度に複数生産する必要がある時に、メモリを必要とするのですが、かなり大容量まで対応してくれます。以前使用していたマシンは一度に複数生産する際はどうしても表面が荒くなってしまったりと不具合が出たのですが、この機種はフレームもしっかりしているためかとても造形が綺麗にできます。なので個数を増やしても安心して造形できます。生産性が一気に上がりました。 スライサーのSimplify3Dのお陰もあるのかもしれません。

あとこれもボンドテックのエクストルーダーギアに改良しました。出力スピードと移動速度も速かったせいか、大きな円を描くと一部積層が乗りきれないところが出て来たりしましたが、このギアに変えると、まずフィラメントの滑り(空打ち)が起こりません。とても心強いエクストルーダーです。あととても静かです。

よろしくない点として、タッチパネルがなかなか反応してくれない時がたまにあるのが難点です。新型の現行機は改善されているとは思います。私は海外のサポートチームとよく連絡をすることがあったのですが、即レスポンスが返ってくるところがとてもよくとても好感が持てました。


▲Raise3D N2Plusで複数のミュートを一度に造形可能。(クリックで拡大)
 

今後のミューティオの課題

多色展開のオーダーメードに取り掛かりたいです。公式HP上だけで受付けたいですね。さまざまなデザインを実現してみたいというのが本音です(今は流通しているカラーは単色なので)。ユーザーさんは、それぞれに自分だけのモノを持ちたいってあると思うので。あとチームで揃えるとか。

今まで試作では、ウッドライクのフィラメントに職人に漆を塗ってもらい、蒔絵も施したミュートを作ってみたりしました。とても外国人ウケしそうです。一部のプロフェッショナルには購入いただけました。


▲職人さんに漆を塗ってもらったミュート。(クリックで拡大)
 

すべてチタン製のミュートなどもDMMで試作しました。なんとも音が反射して消音どころではありませんでした。チタン製8万円です。とても高い実験でした。あととても重いですし。ただ、こうしてやってみて、とてもいい情報が蓄積できています。
クラウドファウンディングに挑戦して新たな3Dプリンタを仲間にするのも手かと思っています。ミマキエンジニアリングさんのフルカラーを仲間に是非したいですね。

また今後も異素材を出せる3Dプリンタがもっと現れれば、管楽器の付属品ももっと種類が増えることとなると思います。音を吸収する素材で作るミュートなども作れたらと思っています。造形可能なゲル素材や音を吸収する金属素材が出せる3Dプリンタでの製造にも挑戦していけたらいいなと思っています。ありがとうございました。


次回は濵﨑トキさんです。2019年1月下旬掲載予定。
(2018年12
月14日更新)

 

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