●大林氏の主な使用3Dプリンタ
2013年~「DS1000」自社開発
2014年~「UP!plus2」
2015年~「UP!Box」
2015年~「Nt100」自社開発
2016年~「PLUSA mk2」
・3Dデザインツール
Tinkercad など
・3Dプリンタ「DS1000」の開発
東京都大田区蒲田で「おおたfab」(ファブラボ兼コワーキングスペース)を運営している大林です。
2013年のとある展示会で、3Dプリンタの部品を発注したいというお声掛けをいただき、開発プロジェクトに参画。当時は少し前まで大手メーカー勤務で製品化プロセスに携わっていたこともあり、そのノウハウを生かして、もう1社さんと「DS1000」という3Dプリンタを自社開発。2013年末に販売開始しました。私はお客様のご案内を担当することになり、3Dプリンタにさわることになりました。
▲3Dプリンタ「DS1000」発売時の記事。(クリックで拡大) |
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当時はメイカーズムーブメントもあり、大変多くのお問い合わせをいただきました。すでに3Dプリンタをお持ちでさらに高性能を望んでいる方、デジタルカメラから3Dデータがすぐに作れると思っている方、削って作っていると思っている方など、さまざまな方がいらっしゃいました。
大勢のお客様と接する中で、お客様の知識レベルの差が大きいこと、3Dプリンタに関する情報が十分でないことに気づきました。
まったく初めての方は、プリンタという名前からか、インクジェットプリンタを想像されている方もいました。そういう中で、3Dプリンタを行うまでのプロセス(主に3D CAD→スライス→プリント)をどのようにご理解いただくのかが課題だと感じました。
・3Dプリンタを無料開放→初心者向け講座を定常開催
ブームのおかげで、興味を持った方が3Dプリンタを利用しに弊社を訪れるようになりました。私自身が3D CADや3Dプリンタが初めてだったこともあり、説明だけでは限界があると感じて、弊社の3Dプリンタを思い切って無料開放することにしました。
2015年にファブラボとしてオープンしてからは、初心者向けの講座「はじめて(初めて・始めて)3Dプリンタ」の定期開催を始めました(現在は月イチ開催)。3D CADはTinkerCADを利用。「モデリング→3Dプリント」 のプロセスを講師と一緒に行い、お客さまは造形物を持って帰ります。おかげさまで、現在65回を数えるほどになり、大田区の図書館や渋谷区の科学館さん、大田区の教育委員会のイベントなどへの出張講座も行っています。この夏休みもNPOさんと連携して2018年に続き、子ども向け講座を開催します。
▲昨年の講座の様子。(クリックで拡大) |
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▲昨年の講座での子どもたちの作品。(クリックで拡大)
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今年は神奈川県大和市で3日間の大人向けの初心者講座も実施しました。こちらにも3Dプリンタを持ち込み「1人1台」の環境を準備して、CAD、スライサー、造形まで一通り3Dプリンタを扱えるまでになりました。
・ブラウザからプリント指示できる3Dプリンタ「Nt100」を開発
2016年には、より簡単に3Dプリンタが使えるということを目的に、Webブラウザから操作できる3Dプリンタ「Nt100」を自社開発しました。主な特徴は下記です。
・ドライバーインストール不要
・USBケーブル接続不要
・Mac、Windows、スマートフォンOK。OSを問わず使用可能
▲自社開発した3Dプリンタ「Nt100」。(クリックで拡大) |
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また付属のカメラによって、プリント状況を確認できます。さきほどの「はじめて3Dプリンタ」の講座でもこのNt100を1人1台使用しています。
▲おおたfabに置かれた3Dプリンタ Nt100 講座は1人1台使う。(クリックで拡大) |
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NT100はプリンタドライバのインストールが不要で、ブラウザ上で操作します。ですので、どのパソコンでもどんな OS でも、極端なことを言えばスマートフォンからでもプリントできる機能を持っています。そのため導入時間が節約できます。
3Dプリンタの満足度という意味では、面倒なセットアップなしにすぐ使えるということと、台数がたくさんあるということで、入門機としてはほぼ満足しています。
またファブラボでは、Nt100が複数台あることで同時に複数部品の出力も行うことができます。使い勝手も同じなので、利用していただくのもスムースだと感じています。
おおたfabの会員さんの中には、3Dプリンタで新製品を検討中のメンバーもいます。また本格的なワークショップも、入門の「はじめて3Dプリンタ」講座を終えた人向けに、「サンデー3D」というもくもく講座もスタートしました。スライサーの設定方法などを3Dプリンタを1人1台使いながら学ぶ講座です。
これからも3Dプリンタ活用のすそ野を広げていきたいと考えています。
次回は前田耕一さんです。2019年7月下旬掲載予定。
(2019年6月17日更新)
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