●iPhone X用のケースをカスタマイズ
あっという間にふた月が過ぎ、新連載の2回目となったが、実はこのところ書籍などの仕事で忙しく、作りたいものの構想はあるものの、新たなモデリングや3Dプリントを行う時間が取れていない。
いや、多少の時間はあっても、心の余裕がないというか、自分にとっては3Dプリントは仕事ではなく楽しみなので、できれば心置きなく没頭できるときに取り組みたいのである。
そこで、今回は、1年ほど前に作ったC4 Cactus(前回参照)用のiPhoneスタンドを紹介したい。このスタンドは、iPhone 7、7 Plus向けに作ったものだ。ところが、iPhone Xに切り替えてからはサイズが合わなくなり、無線充電機能のために市販のスタンドを使うことになった。完全に専用設計でフィッティングを行い、とても気に入っていた実用品だっただけに残念だが、また構想新たに作り直すことも考えている。
実際のスタンドの写真が少ないのも、それと関係しているが、その点はご容赦願いたい。
写真1:関西空港の駐車場で偶然、隣り合わせとなったシトロエンの兄弟メーカー、プジョーのCセグメントSUV、3008(左)。両者の車格は等しいのだが、C4 Cactusは1つ下のBセグメントに属するC3とプラットフォームを共有して軽量化を図っていることや、プジョーのほうが角ばった厳ついデザインを採用していることもあり、こうして見るとサイズ感や印象はかなり異なる。(クリックで拡大) |
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・独特のインテリアに合うデザインを考える
シトロエンC4 Cactusのインテリアは、エクステリアに劣らずユニークだ。そして、同社は、本来、iOSの自動車向け表示システムのCarPlayや、同じく、そのAndroid版であるAndroid Autoをサポートし、対応するスマートフォンを接続して、カーナビゲーションなどができるような取り組みをしている。しかし、残念ながら日本に正規導入されたC4 Cactusは、最後の未対応世代のモデルであるため、別途、iPhoneを取り付けるための仕掛けを作る必要があった。
写真2:旅行をテーマとし、ノスタルジックなスーツケースをモチーフに採用したC4 Cactusの室内。計器類やAVと空調の操作系を2つのデジタルディスプレイに集約するなど、合理化された装備をスタイリッシュにまとめあげている。機械式オートマッチックの主操作も、D(ドライブ)、R(リバース)、N(ニュートラル)の3つのボタン(赤丸の部分)で済ませるほどの徹底ぶりだ。助手席正面に大容量のグラブボックスを確保できたのは、エアバッグを天井の前端に設置したおかげである。 (クリックで拡大) |
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写真3:スズキの新型スペーシアは、「スーツケースをモチーフに」してデザインされた「遊びゴコロいっぱいのインテリア」がセールスポイントの1つだが、明らかにC4 Cactusの内装をヒントにテーマ設定が行われている。(クリックで拡大)
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・フルデジタルディスプレイの短所も補う
そこで、3Dプリンタの出番である。
iPhoneの設置場所は、ドライバーの視点移動を抑えることを念頭に、7インチのセンターディスプレーの上と決めたが、iPhoneのサイズとの差から、どうしてもスタンド部分の幅が余ってしまう。
少し考えた結果、その余った部分を利用して、小型のデジタル時計をはめ込むことにした。というのは、C4 Cactusに限らず、最近のクルマはダッシュボードに物理的な時計を設けず、ディスプレー内に表示しているものが多い。それが常時点灯していれば問題ないが、シトロエンの場合には、操作時以外はセンターディスプレーの表示を消すことができ、自分でも走行に集中する上で、操作パネルを非表示にすることが大半だ。ところが、内蔵時計はセンターディスプレーの上部に表示されるため、その状態では時刻を見ることができないのである。
ということで、アナログな解決法ではあるが、物理的な時計を設置することにし、探してみると、100円ショップのデジタル時計でサイズがぴったりのものがあった。これを加味して、TinkerCADを使ってスタンドをデザインしたのだが、プリンタ側のビルドボリュームの関係で、長いパーツは出力できないため、ちょうど良いところでパーツを分割することでことなきを得た。
写真4: 私物のBukito 3Dプリンタは、ビルドボリュームが125 x 150 x 125mmと限られているため、パーツは分割して出力し、後から接着して組み立て、さらに表面に薄手の革を貼って整えることにした。(クリックで拡大) |
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写真5:完成したスタンドは、センターディスプレーの上に、このように装着していた。上下のベゼル幅がそれなりにあるiPhone 7では、その部分を赤丸の2カ所で支えることで安定して固定できたが、ベゼルレスデザインのiPhone Xでは画面の一部が隠れてしまい、また無線充電にも対応したため、残念ながらこのスタンドは、1年弱で引退となった。デジタル時計は、100円ショップで購入したものをはめ込んで使う仕組み。 (クリックで拡大) |
アメリカの都市部以外では、クルマのオーナメントなどを破損・紛失した際に、わざわざ部品を買いに遠くの町まで出向いたり、高い送料を払って通販で入手するよりも、3Dプリンタで出力して取り付けたほうが安価で手っ取り早いと考える人も現れている。
そのため、3Dデータなどの共有サービスであるThingiverseでは、自ら必要があってリペアパーツを設計した人たちがアップロードしたデータを見つけることができる。
これらの人々も、きっと3Dプリントライフを楽しんでいるに違いない。
写真6: Thingiverseに有志がアップロードしている、クルマのスペアパーツ類の3Dデータ。「ダイムラー」、「カマロ」、「VWジェッタ」などの名前が見られる。(クリックで拡大) |
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次回は5月中旬掲載予定です。
(2018年4月6日更新)
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