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3Dプリンタの明日を妄想する

本コラムでは3Dプリンタに関係する業界のオピニオンリーダーに、3Dプリンタの現在、未来を語っていただく。明日は誰にも分からない。だからこそ、夢や妄想が明日を創る原動力になる。毎回、次の著者をご指名していただくリレーコラムなので、さまざまな視点での3Dプリンタの妄想をお楽しみください。

 

 
 

Imagination for 3D Printer

第17
夢を追いかけて

遅沢 翔/3DプリンターSK本舗

遅沢翔(ちざわしょう):1987年東京生まれ。外資系投資銀行を経て、フェリデンシア・キャピタル株式会社を創業。3Dプリンタに魅了され、2018年にSK本舗の看板を掲げ本事業スタート。初心者でも安心して3Dプリンタを導入できるように、充実したサポート体制と、モノ作りの楽しさを伝えることに積極的に取り組む。
HP :https://3dprinteronline.shop/
Twitter :https://twitter.com/3dprinter_sk

 


皆さんこんにちは。角村さんからご紹介いただき、リレーコラムを書かせていただくことになりました。このような機会をいただけて光栄に思います。今回は私の視点から見た、3Dプリンタという壮大な世界のほんの一部分をご紹介したいと思います。

3Dプリンタで出力したさまざまな試作品。(クリックで拡大)

 

●3Dプリンタとの出会いから魅了されるまで

私は20代の頃はずっと金融畑を歩いてきており、モノ作りとはまったく無縁の世界に生きていました。しかし、自身の会社を創業後、ある種の自由を手にしたことを機に、幼い頃から興味があったモノ作りという世界をあらためてのぞいてみることにしたのです。そこで出会ったのが「Anycubic Photon」という光造形機でした。そして、この出会いをきっかけに私の幼い頃の想いが現実へとつながっていくことになりました。

正直に言うと、当初はその性能に対して半信半疑でした。しかし、ものは試しにと出力をはじめ、液体(レジン)の中からミニチュアのエッフェル塔や機関車がにゅるにゅると生まれてくる姿を目の当たりにするや、私はすぐさま態度を改めさせられました。あの時の強い感動は今でも忘れることができません。高校までは理系だったものの、化学については成績を取るために必要だった記号式しか覚えていない私にとって、一体なぜ液体からこのような精密な物体が形成されるのか、目の前の現実が不思議でたまりませんでした。それはあたかも、世界のさまざまな不思議に心を躍らせていた子供時代に戻ったかのような、驚きと喜びに満ちた感覚でした。

この体験によって、私の世界観はガラリと変わりました。金融という実体のない単調な世界から、躍動感のあるモノ作りの世界へ。同時に、私はこの素晴らしい体験を是非とも多くの人たちと一緒に共有していきたいと思い、3Dプリンタに関わる事業を開始しようと、この日に決断しました。


●シャッフル同盟の誕生とSK本舗のこれから

「Phrozen Shuffle XL」(クリックで拡大)

 

私がSK本舗をスタートした2018年中頃にAnycubic Photonが爆発的に売れはじめ、レジンの消費量も日を追うごとに増加しました。ただ、Anycubic Photonは値段が安く、手軽に始める導入機種としては大変魅力的ですが、初心者が安定して出力を続けられるという観点では少し物足りなさがあり、より一層精度が高く、なおかつ造形サイズが広くて気軽に出力できる機種が必要だと感じはじめていました。そんな折に、私が感じていた物足りなさを解決したPhrozenの「Shuffle」シリーズを知り、代理店として取り扱いを開始したのです。

結果、Shuffleシリーズは大変な好評を得ることができ、ご購入いただいた多くの初心者や経験者の方々が、安定して3Dプリンタで量産出力する環境を整えることができました。現在、Shuffleをお使いいただいている方をシャッフル同盟というコミュニティにお招きし、意見交換や出力品の相互紹介、交流会の開催などを交えた活発なコミュニティ作りに励んでおります。

今後は、Shuffleシリーズのさらなる高性能化、レジンの品質及び精度の向上や、さまざまな物性を持ったレジンの開発販売、スライサーなどのソフトウェアの充実化などを進めていきます。また、イベントの出展とメディア露出を増やし、3Dプリンタの魅力を積極的に発信していきたいと思います。

SK本舗にとって2018年が3Dプリンタ元年とした場合、2019年は黎明期を迎え、ますます多くの人が3Dプリンタを触り、感動を体感しシェアしていく素敵な時代が訪れることを心より願っています。

●3Dプリンタの二極化とレジンに関して

SK本舗では主に光造形タイプの3Dプリンタを取り扱っております。現在の光造形3Dプリンタは、工業用品としてのプロユース、そしてトライ&エラーが必要な低価格製品という二極化が進んでいます。後者に関しては、環境とパラメーターなどの設定がある程度整っていればほぼ満足のいく作品を作ることができますが、ビックカメラやヨドバシカメラなどの家電量販店で安心して取り扱えるような水準の光造形機はいまだないというのが現状です。

また、取り扱いが躊躇される大きな一要因としてレジンの特性を挙げることができます。

光造形方式の3Dプリンタで使用されるレジンは、液体状の紫外線硬化性樹脂になります。紫外線が照射されることで、重合開始剤を含むモノマー溶液が光重合し、立体的なポリマーを生成します。このようなレジンで出力された造形物はIPA(イソプロピルアルコール)を使って未硬化レジンをしっかりと洗浄しなければなりません。素手でレジンに触ってしまうと、レジンアレルギーを引き起こす場合があり、かゆみや腫れ、湿疹や水膨れの原因になります。レジンを使用する際は必ずゴム手袋を着用の上、部屋をよく換気する必要があります。取り扱い方法を誤るとこのようなアレルギーを引き起こす蓋然性が一気に高くなる点でも、家電量販店で普及するに際し大きな障害となっています。

さらに付言すると、低価格帯の家庭用で使われる光造形3Dプリンタで一番難しいところは、レジンの種類や色、使用者の周辺環境によってレジンの硬化時間やFEPフィルムから剥がれる際の応力加減が大きく変わってくる点にあります。したがって、ある特定のレジンパラメーターを他の方が真似をしても、レジンの温度や室内環境、出力物の形状やサポート柱の配置方法、そしてレジンのロット差やプリンタの機種差、個体差によって、1から自身で適切な照射パラメーターやその他の適切な設定を探らなければなりません。使用者の経験や勘が大変重要になってくるため、数回の失敗に挫けず、原因を探求するストイックな精神力が必要になります


●3Dプリンタの可能性は無限大

3Dプリンタを使った火星での住宅建設イメージ図。(クリックで拡大)

 

さて、3Dプリンタの現状についてお伝えしましたが、実際に3Dプリンタを使いこなし、大きく活用している業界というのは年々増加の一途をたどっています。飛行機や自動車の部品、歯科模型や建築/鉄道模型、フィギュア、ジュエリー、日用雑貨などなど、アイデアの数だけ3Dプリンタはその威力を発揮し、活躍してくれています。とはいえ、現状で実用化されている範囲はまだまだごく一部、その無限大の可能性を考えるなら、ほんの取っ掛かりに過ぎないというのが私の考えです。

たとえば、将来NASAは、火星で調達した材料を使用して、3Dプリンタによる火星上住宅の建設を試みているようです。また、スウェーデンなどの欧州地域では、人々の健康状態に応じた最適な食事のために3Dプリンタを使って食料を生産する研究が進んでいます。そして、ある研究機関では人体への移植可能な臓器や細胞組織、骨などを3Dプリンタで製造する技術を開発しています。

このように、3Dプリンタ業界は想像以上に大きなポテンシャルを秘めており、さまざまな可能性に満ち溢れています。3Dプリンタの革新時代を身近に体験し、ともに成長していくことができる大変運の良い時代を私たちは生きていると日々実感しています。

●あとがき~コンビニでレジンやフィラメントが気軽に買える日が来ることを夢見て~

SK本舗は皆さんに3Dプリンタを身近に感じてもらい、業界の発展とともに歩んでいきたいと心より願っております。そのため、製品の研究開発をはじめ、最安価格、最速配送、無償相談、製品のアフターフォローサービスなどといったお客様目線に立った手厚いサービス体制の拡充に邁進します。初心者からプロフェッショナルな方まで、3Dプリンタをさまざまな用途において十二分に活用してもらうこと、一般の方でも参入しやすい環境を整えていくことが業界発展に不可欠だと考えています。

また、1人でも多くの方に3Dプリンタでモノ作りをしてもらい、この業界の人口増加を目指していく上でも、すでに先陣を切っている業界の人々が力を合わせ、一丸となって3Dプリンタの魅力を内外へ伝えていくことが大切だと感じています。

3Dプリンタが今よりもっと普及した世界。金曜日の残業後、最寄りのコンビニでセール中のレジンとアサヒビールをカゴに入れレジへ。家に帰って大好きな模型やフィギュアのデータを3Dプリンタに転送し、ついさきほど買ったレジンをタンクに注ぐ。あとは出力スタートのボタンを押し、ビールを飲みながら眠りにつき朝を迎える…。
そんな素敵な日常が来ることを夢見て、次の方へバトンを渡したいと思います。



次回の執筆はNSS野田裕介さんです。
(2019年5
月14日更新)

 

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