●はじめに
今回、アクセサリー作り、コスプレ衣装作りをするにあたって、3Dプリンタ(FDM方式)を取り入れることでのメリット、デメリット、手作業とのミックスについて紹介していきます。
●3Dプリンタとの出会い
役所職員時代からコスプレ衣装制作や、創作活動をしていたため、さまざまな手法で作品作りをしていました。2021年に、FDM方式の3Dプリンタを購入し、現在もその3Dプリンタを活用しています。
自宅で使用しているFDM式3Dプリンタ。(クリックで拡大) |
|
|
●メンテナンスとの闘い
データ作りは仕事でも行っていたため問題なくできましたが、機械トラブルが月に2、3回発生し、そのたびにメンテナンスが必要でした。ネットに情報はあるものの、それが起きているトラブルの原因が分からないため、1つずつ原因をつぶしていきました。
私が海外から購入した3Dプリンタは、最初に届いた状態ではトラブルが高確率で起きるため、部品交換、定期的なメンテナンスが必要となりました。3Dプリンタは手頃な価格で購入できますが、初心者の方は、メンテナンスでつまづくことも多いかと思いますので、ぜひ、ネットショップで部品の取り扱いが多い3Dプリンタを購入することをお勧めします。
失敗の原因になっていた部品の写真。(クリックで拡大) |
|
上:部品交換前。積層が目立ってしまっている。下:部品交換後。部品交換によって積層の目立ちがほとんど解消された。(クリックで拡大)
|
●手作業から3Dプリンタへ
3Dプリンタの購入以前は、アクセサリーやコスプレ衣装などを手作業で作成していました。既存品を購入し組み合わせてアクセサリーを作ったり、粘土をこねて仮面にしたり、ウレタン素材を用いて衣装の一部にしたりしていました。
機械義手のオーダーがあった当初は手作業で作成していましたが、量産するには時間や手間がかかり、正確性を保つのが課題となりました。3Dプリンタ購入後、機械義手の3D CGデータを作成し、部品を印刷、手袋に縫い付けクオリティアップが実現しました。
義手のデータ作り。(クリックで拡大) |
|
今までの義手(ウレタン製)。(クリックで拡大)
|
3Dプリンタを取り入れた義手。(クリックで拡大) |
|
|
3Dプリンタ取り入れたことでのメリットは、
・落としても壊れにくい耐久性
・制作時間の短縮
・手間を少なくすることができる
・さらにクオリティアップするにはどうしたらいいかという追求
こういったことが可能になりました。
逆にデメリットは、
・1つひとつのパーツを印刷するのに時間がかかってしまう(大きいものだと12時間以上かかることが多々)
・FDM方式を使用しているのでどうしても積層ができてしまう
・印刷したパーツをツルツルにする処理に時間がかかる
というところです。
また、耐久度はある程度あるものの、細長いパーツ、薄いパーツなどは印刷方向や密度を考えないと折れたり、壊れたりしてしまいます。とても便利な反面、作るものによっては工夫が必要となってきます。
●手作業と3Dプリンタのミックス
すべて3Dプリンタにまかせて作品作りをしているわけではありません。以前販売していた「イヤーフック」ですが、ベースとなる部分は3Dプリンタで作成し、そこにつける飾りは既存品を購入し組み合わせています。
機械義手も部品は3Dプリンタで印刷しますが、部品を手袋に縫い付けるのは大きさによって微調整が必要なため手縫いをしています。手作業、3Dプリンタの良いとこ取りをすることで作品作りの幅が広がります。
また、1からデータを作ることでオリジナル性の高いものができたり、3Dプリンタの正確性を活かした衣装の一部を作成したり、印刷時間を活用して効率を上げたりできます。
3Dプリンタで作成したイヤーカフ。デザインを1から作ることでオリジナル性向上。(クリックで拡大) |
|
3Dプリンタで作成したヘッドホン型アクセサリー。正確な数値入力で、フィット感が増した。(クリックで拡大)
|
3Dプリンタで作成した胸下ベルト。動きによる破損が軽減した。(クリックで拡大) |
|
|
●3Dプリンタの可能性を妄想
3Dプリンタを購入したいけれど、データ作りや定期的なメンテナンスが必要だったりと、経験のないことだらけで躊躇している方も多いと思います。今はデータ作りや3Dプリンタの取り扱いについて、動画やSNS、ネットにたくさんの情報があります。私も以前はデータは作っていたものの、3Dプリンタにはまったく触れてきませんでした。
メンテナンス作業が苦と感じることはあるけども、それ以上に創作の幅が広がったこと、手作業では難しかったものが作成可能になったこと、量産がしやすくなったことなど、3Dプリンタと出会えてよかったと感じました。オリジナル性を高めたり、クオリティアップもできることは大きなメリットとなります。
将来、さまざまな素材が現れ耐久度アップが高まり、またトラブルの原因をできるだけ補ってくれる部品や本体が登場することで、さらにいろんな人が作品作りに3Dプリンタを利用し、創作の輪が広がっていくことを期待しています。
次回の執筆はmiki3さんです。
(2022年9月6日更新) |