●はじめに
趣味でも仕事でも3Dプリンタを使用している私が、昨今の情勢や自らの経験から予想してみようと思います。
●3Dプリンタの可能性
1980年代に日本で実用化された3Dプリンタ(当時はRPと呼ばれる)。その後、2000年代にFDM(熱でプラスチックなどを溶かして積み上げる方式)の特許が切れたことにより、広く一般的に利用されるようになってきました。
私は2010年代半ばに低価格帯の3Dプリンタを購入し、福祉と3Dプリンタを融合できないかと活動していました。そこで制作したのが、握力が障がいによって不足している人に向けて簡単に開閉できるペットボトルの開閉補助器具などです。
当時使っていた3Dプリンタ(当時の価格でおよそ3万円)。(クリックで拡大) |
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パソコンでの製品画面
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実際の製品画像。(クリックで拡大)
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これは、実際に福祉施設に納入したところ評判は上々でした。この時、個人個人の体型や癖に合わせて設計制作できる3Dプリンタに大きな可能性を見つけました。
また、現在では家までも3Dプリンタで作ることができるようになっているようで、12時間で壁を作ることができるようになるとのこと。また食品分野でも3Dプリンタが実験的に採用されているようで、介護職であったり、はてには3Dプリンタで肉までもが印刷できるといいます。
今までのプリンタでは2次元的な印刷しかできなかったものが、立体的に印刷ができることによって、ものを作るハードルが一気に低くなりました。現在では多くの企業が3Dプリンタを使い新たな製品開発に役立てています。
●3Dプリンタの課題
現在は一般的に用いられる3Dプリンタの素材はプラスチックが大多数を占めています。メタル素材の3Dプリンタはまだ価格も高く、材料費も非常に高価なものになります。また、金型を用いる造形方法と比べてどうしても造形スピードが遅く、試作用途にしか実用性を見いだせないのが現状です。
●昨今の世間からの目
前述のとおり、クリエイターの目線から見れば一家に1台といっても過言ではないアイテムですが、世間的な目はあまりそうではありません。3Dプリンタのニュースで話題に上がってしまうのは、人を傷つける道具を作ってしまう人が現れるということです。
3Dプリンタを使っています! と答えると結構な割合で「危ないもの作ってない?」と聞かれることが多くなってきました。ちなみにアメリカでは3Dプリンタで作ることができる「ゴーストガン」と呼ばれる銃が、5年前の10倍になっているそう…。
●3Dプリンタのこれから
現在も多数の企業やユーザーに利用されている3Dプリンタ。企業では製品の開発に、個人では壊れてしまったパーツや、家具を作ることが普通になってくる世界が来ると思っています。そんな世界のために現在の我々は健全な使い方をしていきたいものです。
(2022年11月18日更新) |