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3Dプリンタの明日を妄想する

本コラムでは3Dプリンタに関係する業界のオピニオンリーダーに、3Dプリンタの現在、未来を語っていただく。明日は誰にも分からない。だからこそ、夢や妄想が明日を創る原動力になる。毎回、次の著者をご指名していただくリレーコラムなので、さまざまな視点での3Dプリンタの妄想をお楽しみください。

 

 
 

Imagination for 3D Printer

第72
Zbrushと3Dプリンタの連携で創造の幅を拡大

三条獅子有忠/造形作家

三条獅子有忠。ワンダーフェスティバルなどのイベントでオリジナル造形物を発表。カプセルトイねこ如来などの販売を経て、現在造形会社Enku を設立。最近の作品は魔神エジプトシリーズ、きゃっとふ~どシリーズなど。
X(Twitter):@sanjyousisi




 

●3Dプリンタとの出会い

造形の主流がアナログからがデジタルへと変わろうとしている2020年頃に、デジタルスカルプトソフトのZbrushと出会い、その出力機として初めて手に入れたのがPhrozenの光造形機「Sonic Mini」でした。

始めてプリントが成功した時は未来が来たと感動したのを覚えています。現在はELEGOO社の「Saturn」シリーズを使っています。


「ねこ如来」。アナログ造形時代の作品。(クリックで拡大)

初めて出力が成功した獅子舞の頭のパーツ。(クリックで拡大)

●現在の3Dプリンタの活用

元々アナログ造形をしていた時は生物が主で、いわゆるメカものが苦手だったのですが、Zbrushと3Dプリンタとの連携で直線が造れるようになった結果、エジプトとメカを組み合わせた「魔神エジプト」シリーズを発表して好評を得ています。

デジタル造形と3Dプリンタの組み合わせは、造形師の創造の幅を広げてくれるマテリアルだと思っています。

「魔神ホルス」。近年発表している魔神エジプトシリーズより。(クリックで拡大)

「一体成型出力品魔神マヘス」。パーツ確認のために一体成型で出力した魔神マヘス。大きくて複雑なパーツも的確にサポートすることで綺麗に出力することができる。(クリックで拡大)


●3Dプリンタの課題

自分は光造形機を使っているので、それに絞った課題になりますが。

1つ目はサポート痕や積層痕。
元々アナログ作業でも表面の磨きは発生していましたが、3D出力品でも磨きで多くの時間を取られてしまうのは残念です。

2つ目はレジンの特殊性です。
素手で触れない、特殊な洗浄液が必要、出力品の脆さなどです。一応水溶性レジンや高靭性レジンなども登場してきていますが、未だに決定版はないと思っております。

3つ目は機械の操作性とメンテナンスです。
3Dプリンタが一般的になったとはいえ、まだまだ専門的な知識を必要とします。また、フィルムの張り替え、ライトの交換また、日々のメンテナンスは初めて使う人にとってはまだまだハードルが高いと感じてしまいます。

とはいえ、ここ数年ですごいスピードで進化している3Dプリンタ界隈ですので、今現在感じている不満点はすぐに改善されるのではないかと考えています。それよりも今誰も予想していない機能や出力方法を搭載した3Dプリンタが登場することを楽しみにしています。



次回の執筆者はドロボッチさんの予定です。
(2024
年9月5日更新)

 

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