はじめまして、こるとと申します。プロフィールにもある通り、工学や美術とは無縁の生活を送ってきた、模型趣味の一般社会人です。一応模型ディーラー活動としてはそれなりに長く活動しており、15センチ前後のアクションフィギュアやプラモ向けに武器などを作っています。こういったコラムを書くのは初めてですので、お見苦しい部分などもあると思いますが、どうかご容赦いただければと思います。
●3Dプリンタとの出会い
もともと小型の模型用フライス、カッティングマシン、レーザー加工機などを使用して作品作りとディーラー活動をしており、2019年あたりの家庭用光造形機が少しずつ普及しはじめた頃に光造形式3Dプリンタを導入しました。その後は光造形機メインになりましたが、ガジェット好きが抑えられずに小型機から本体重量40kgの大型機まで買い漁り、気づけば運用経験は10台を超え今に至ります。
●手間だらけ、だからこそ楽しい
なんでそんなに買い漁ったのかといえば、もう単純に3Dプリンタが楽しいからです。他の執筆者の皆さまも仰っていますが、3Dプリンタはボタンを押すだけで造形物がサクッと出てくる便利なマシンではありません。めちゃくちゃ手間のかかるやつです。
造形方向やサポートは考えないといけないし、ちょっとレジンの液温やビルドプレートの温度が低いだけで造形物の全滅なんてことザラです。思いつくこと全部やっても謎の失敗…なんてことも何度も経験しました。
ただ、その失敗と試行錯誤が本当に楽しいからここまでのめり込んでいるんだと思います。原因の分析を徹底的に行い、考えられる要因を洗い出し、試せることは全部試していって正解を見つけたときは本当にスカっとしますし、その結果として綺麗な造形物が出来上がったときには本当に嬉しくなります。よく3Dプリンタは夢のマシンじゃないなんて言われることもありますが、やれることをやったときにはきちんと結果を返してくれるって意味では夢のマシンだなと思います。
●活用について
前述の通り3Dプリンタはディーラー活動や趣味で活用しています。1/12サイズのジャンルで活動しており、そのサイズのフィギュアやプラモ用の武器などを作っています。
直近で一番新しい自作武器類。(クリックで拡大) |
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同じく最近の自作武器。(クリックで拡大)
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一番3Dプリンタの恩恵にあずかっているのはやはりギミック面ですね。手作業だと精度出しの部分で苦戦しがちな部分を機械の力で解決してくれます。最近は作品をYouTubeにもアップしているんですが、ギミック系の武器は皆さまかなり反応が良いです。
過去一番の反応をいただいた、抜刀/納刀に連動して鞘が開閉する刀。(クリックで拡大) |
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同じく抜刀/納刀に連動して鞘が開閉する刀。(クリックで拡大)
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あとは複製の難しいパーツの生産でもかなりお世話になっています。基本的に原型を出力してから複製業者様に依頼してレジン複製をしていただいているのですが、中には構造上どうしても複製の難しいパーツもあります。昔は妥協して分割したり泣く泣くギミックをオミット、なんてこともありましたが、今では3Dプリンタで量産という手札が増えたので作品の幅も広がったと思います。
●3Dプリンタの課題
光造形機に関しては課題は多いと思いますが、個人的に現状一番の課題は液晶の高解像度化に伴う交換用LCDパネルの価格高騰だと思います。最近のパネルは防護用のガラスフィルムがついていることがほとんどですが、やっぱり破損リスクなどはどうしても避けられないので、ここは大きな課題かなぁと。
あとは我々が手に取れる価格帯の国産のプリンタがまだまだ少ないことも課題かと思います。現在主流の海外メーカー品は、個人的には品質的にもサポート的にはそこまで不満はないのですが、部品が故障した際の取り寄せやメーカー返送修理などでは結構な時間がかかりってしまいます。
もし日本で家庭用の3Dプリンタ作るメーカーが出てくれば、そういった時間の制約はかなり軽減されるかなと漠然と考えているので、今後増えたらいいなと思っています。
●3Dプリンタのこれから
あくまで家庭用の光造形機に限定した話になるのですが、造形物の精細度や面の滑らかさに大きく関わる「液晶の解像度」という部分に関しては頭打ちになってきていると思います。
なので今後はオートレベリングやヒーター、レジンの自動注入といった、ユーザーの手間を省くようなオプション面の強化や、より高速に造形できるような機構などを積んだプリンタが増えてくるのではないかと思っています。
ただ先述の通り個人的にはそういった手間を工夫で解決していくことも楽しみだとは思っているので、Z軸の精度や筐体の剛性にコストを割いた、質実剛健な国産プリンタなどが出たら嬉しいですね。
●夢とか妄想とか
完全に妄想で申し訳ないですが、液中に3Dホログラムを投影してサポートなしで一瞬で造形する、なんてプリンタを生きてるうちに見てみたいなぁ…あわよくば使ってみたいなぁ…なんて思っています。
次回の執筆者はロンシンさんの予定です。
(2024年11月11日更新) |