●3Dプリンタを使い始めたきっかけ
友人が3Dプリンタを購入してフィギュアや小道具を出力していたのを見て「羨ましい!」と思ったことがきっかけだったと思います。そしてコロナ禍初期の2020年、思い立って自身も3Dプリンタを購入しました。初の3DプリンタはFLASHFORGE社のAdventurer3です。仕事で3Dプリンタ自体の使用経験はありましたが、プライベートでの導入は人生初でした。
●コスプレ造形への活用
私は昔からコスプレ造形が好きです。3Dプリンタはコスプレ造形に活用することが多いです。コスプレ造形を簡単に説明すると、コスプレ(漫画/アニメ/ゲームキャラクター、特撮ヒーロー、ロボットなど)の衣装や小道具類における造形部分を製作することです。
このように、コスプレにおいて造形を伴う衣装や小道具類の製作者を「造形レイヤー」と呼びます。私もその内の1人です。どんなものを作っているか? 気になる方がいましたら、TASOのXアカウントをご確認ください(@GoriLLiooon)。
SNSを眺めていると、3Dプリンタをコスプレ造形に活用している方は珍しくない時代になってきていると思います。ただ、その中でも私は一風変わった活用方法をしている気がするため紹介いたします。
●3Dプリンタ製「造形レイヤーお助けグッズ」
造形レイヤーが「造形」を行う際に使う素材としてサンペルカやフォームエースと呼ばれる素材があります。分かりやすく例えると、百均などで売っているつなぎ合わせるフロアマットやビート板のような触感の硬めのスポンジっぽい素材です。造形レイヤーは必要に応じてこれら素材をカッターで切り出し、接着剤でつなぎ合わせてさまざまな形の鎧や小道具を形作ります。このカッターの使い方次第で造形できる表現や質は変わってきます。
例えば、カッターで切り出す際に一定の角度を保てないと、切断面がガタガタになったり、つなぎ合わせる際にラインが崩れたり、見栄えが悪くなってしまう場合があります。
私はこれを「3Dプリンタを使って何か良い補助具を作れないだろうか?」と思案し、たくさんの試作を経て「角度固定補助具」を作りました。

2021年に作成した「カッター角度固定補助具」。(クリックで拡大) |
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製作時に特に気にかけたのは「いかに最低限の形状で作れるか?」です。最低限でつくればそれだけ視覚情報も単純になり直感的に使えるのでは、と考えました。結果的に「角度固定補助具」を構成する部品はたった1つ。出力所要時間は30~40分程度です(Adventurer3)。
このように、私は3Dプリンタを活用し「造形レイヤーお助けグッズ」を思いつくたびに作成しています。
●3Dプリンタだからできること
3Dプリンタの良いところは、型を考慮した形状づくり、PLや抜き方向の設定などを度外視できるところだと思います。詰まるところ樹脂成型品の設計や金型のプロでなくとも、ものづくりができることがとても良いなと感じます。
昔から、ものづくりの妄想をすることが大好きで「こうしたら、実現できるのではないか?」「この方法にすると〇は成り立つが、△はダメになるのでは?」といつも想いを巡らせてきました。その妄想を実際に試作し、思った通りだ! とか、こんな落とし穴があったか!? と気が付くのも本当に楽しいです。

角度固定補助具の試作の数々。(クリックで拡大) |
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造形レイヤーお助けグッズの1つ「Vカッター」の試作の数々。(クリックで拡大)
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造形レイヤーお助けグッズの1つ「当て切り補助具」の試作の数々。(クリックで拡大) |
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モンスターの鱗風のパーツを作るためのヒートプレス型。(クリックで拡大)
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百均の透明下敷きで宝石風パーツを作成できるヒートプレス型。(クリックで拡大) |
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●これからの3Dプリンタに期待すること
正直、価格面は現在の価格帯でも申し分ないと感じています。また、出力後の後処理は造形好きの私からすると醍醐味の1つのため、今後3Dプリンタが進化しすぎて一切の後工程がなくなるとつまらないと思うので、あまり簡単にならなくても良いかなと思うところはあります(笑)。
強いて言うと、メンテナンス性の向上は期待しております。私はメカに強いかといわれると、はっきり言って苦手です。もともと超絶アナログ人間でしたし、3Dプリンタ導入当時、3Dプリンタで不具合が発生すると、泣きそうになりながらネットで検索して、検索しても不明な不具合の場合は部品ごと交換したり、サポートセンターに泣きついたりしていました。
昨今は日本語対応機種の増加に伴い日本のユーザーも増えてきたので、大抵の不具合はトラブルシューティングとして引っ掛かります。が、そもそも何と調べたらいいのか分からない場合もあります。不具合が発生したら「ここが不具合起きてますよ!」と教えてくれる3Dプリンタもありますが、現状の家庭用3Dプリンタで不具合をお知らせしてくれる機能はあまり見たことないです(めちゃくちゃあったらすみません)。こういった理由で、多方面でメンテナンス性が向上してくれたらな~と思うことはたびたびあります。いずれにせよ3Dプリンタの進化にはとっても期待しております!
次回の執筆者はさばかんさんの予定です。
(2025年2月18日更新)
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