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最新技術の鑑定術

本コラムでは、さまざまな最新テクノロジーがモノ作りや生活とどのように関わっていくのかを考察していきます。毎日のように出来立てのテクニカルタームが飛び交うビジネスシーンで、何が大切なのか? 皆さんが見極めていくヒントになれば幸いです。

 

 
  New Technorogy Judgment

第1回
最先端技術との付き合い方

水野 操

米・Embry-Riddle航空大学修士課程修了。1990年代初頭から、CAD/CAE/PLMの業界に携わり、大手PLMベンダーや外資系コンサルティング会社で製造業の支援に従事。2004年に独立し、独自製品開発の他、3Dデータ、3Dプリンタを活用した事業支援などを行っている。著書に、『AI時代に生き残る仕事の新ルール』(青春新書インテリジェンス)など。
http://www.nikoladesign.co.jp/

 


●新テクノロジーに対する不安?

次から次に新しい製品やソフトウェアが出てくる世の中である。ものによっては、仕事のあり方そのものを変えてしまうことがある。最近で言えば「AI(人工知能)」である。AIによって人間の仕事が奪われてしまうのではないだろうかという懸念は、この数年言われ続けている。実際、このようなトピックについて私が2年前に上梓した『あと20年後になくなる50の仕事』(青春出版社)(写真1)も、幸いなことにいまだにご好評いただいている。

ようするに新しいテクノロジーは基本的には私たちの生活や仕事をもっと楽になるための素晴らしいものであるはずなのだが、こと自分の仕事に関連して考えるとき、懸念をおぼえる人が多いということであろう。

一方で新しいテクノロジーは、上手く使えば業務を効率化するだけでなく、新しいビジネスチャンスや売上の工場につながることもある。ただ、世の中、分かりやすい技術だけでなく、最新といわれるものほど自分にはまだ遠いものと感じ、その付き合い方をはかりかねるということも少なくない。

そこで、この連載では、エッセイ形式で筆者と独断と偏見でその時に気になった最新のテクノロジーやそれらを用いたツールとの付き合い方について述べていきたいと思う。

と言いながら、今回はその特定のものがちょっと思いつかなかったので、プロローグとしてこの数年、特に3Dプリンタや3D CADをはじめとするモノ作りのためのツール群が低価格化かつ高機能化し急速に民主化している昨今、気になった傾向を述べていきたいと思う。

で、今回のトピックは…。


写真1:『あと20年後になくなる50の仕事』(クリックで拡大)
 


●玄人が素人に遅れを取る時代

実はこのフレーズ、筆者がセミナーを行うときによく使うフレーズである。例えば、2012年から2013年当時、最先端技術と言われた3Dプリンタであったが(当時、聞かれるたびに1990年台から日本でも使っている会社あったので最先端ではありません、と答えていた)、モノ作りのプロであるはずの製造業、特に中小製造業ほど取り組みは遅れていたように思う。

そもそも当時(今も?)中小製造業では3D CAD自体に取り組んでいなかった会社も多く、「3D CAD+3Dプリンタ」というものの投資に及び腰であったイメージがある。「2D CAD+切削加工機」などの方法から、3D CAD+3Dプリンタ、あるいはその他の製造法には大きな変革が求められるが、今までそれなりに上手くいっていた方法を変革することは難しい。

むしろ、世の中が大騒ぎを始めた中で動きが早かったのは「素人」の皆さんであったような気がする。ここで言う素人とは、ホビーというわけではない。これまでの製造業の枠組みにいなかった人や企業という意味だ。

何らかの形で、モノ作りに参入したいとか、メーカーになりたかったが技術やコストのハードルが高くて参集できなかった企業や、場合によっては最終製品は自分たちで売っていたが、データの作成から製造は外注していたのを内製化したいというようなものも含まれる。

3Dプリンタによる出力サービスで、もっとも成功した企業といえばDMMであろう。DMM.makeという形で多くの加工機や測定機器を揃えた場所や会員向けのコワーキングスペースを揃えるなど、若いハードウェアベンチャーが参入できる環境まで揃えている。同社は、3Dプリンタ以前は製造業とは縁がなかった。

また3D CADもオートデスクのFusion360の登場などで、これまで100万円単位の投資をしなければ揃えられなかったソフトが、立ち上がったばかりで売上のまだ少ないベンチャーなら実質無料だし、そうでなくても年間数万円の世界だ。

3Dプリンタにしたところで、今や50万円から60万円も出せば高性能の光造形方式の3Dプリンタが手に入る時代。
個人や小規模でやりたいこと、あるいは作りたいものがあって、判断が早い会社が結局使いこなしてさっさと新しいビジネスを生み出しているように見受けられる。

この手の人たちは学びが早い。ちょっと教えただけで恐れを知らずにどんどん使い込んでいく。1年も経ったら私よりも使い込んでいるんじゃないかという人も珍しくないし、事業やプロジェクトを起こして有名になっている人もいる。

別に従来の製造業の人をディスっているわけではない。

ただ、新しく出てきたモノ作りの道具で新しいことを行うには、その分野のプロの枠にとらわれないほうが良さそうだということは感じる。


●まず、さっさと試してみては?

この手の傾向は他の分野でも見られるような気がする。

例えば、ドローンだ。

ドローンについても、今や3Dプリンタ同様にかつてのブームのような熱気はなくなっている。でも、すでに1つの産業になっていて、例えば建設の測量などではなくてはならないツールになっているし、報道の空撮などでも当たり前のように使用されている。

ドローンを活用した次世代モビリティの研究も進めている。

ところが、先日やはり航空系に関わる人と話をしていたのだが、ドローンブームからドローン事業に参入し、ある程度実績を出してきている人たちは、元々の航空関係者ではない方が多いのではないかというところで意見が一致した。

このままいくととりとめのない話しになりそうなので、そろそろまとめようと思う。

これまでの延長線上のテクノロジーやそれに基づくツール、製品を使い続ける限り、例えばモノ作りの場合、革新は起こせない。掛かるコストも変わらないので、ドラスティックな変化もなければ新規参入も起こらないし、新規産業も出てこない。

新しいテクノロジーが、コスト的にも技術的にも多くの新規参入者、特にその産業の部外者が参入してきそうなのであれば、ある種自分も素人のような形で関わっていくことが大事なのではないだろうか。その上で、自分たちの既存の技術を活かせばよい。そこはアドバンテージになるのだから。

もう1つは、検討に時間をかけずにさっさと試してみる、ということだ。

最近の新しいテクノロジーの導入コストはそれほど高くないものが多い。悩んでいる暇があったら試したほうが早い。新しい製品やテクノロジーは誰にとっても新しい。先行事例などないことが多い。自ら道を切り拓く必要があるのだ。

先行したものが結局のところ経験を積んでさらに優位に立つし、それらの技術を使うオピニオンリーダーになる可能性があるかもしれないからだ。




次回は4月中旬掲載予定です。
(2018年3月16日更新)


 

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